最初に答えを書いておく。趣味の転写用途なら、セリアのカーボン紙で普通に事足りる。
ただ、これには条件がある。「紙に線を写せればいい」という割り切りができる人限定の話だ。プロの刺繍作家でも、毎日大量に使う人でもない、私みたいな「たまに図案を写したい素人」に向けた話として読んでほしい。
買いに行くまでの経緯、とその前置きは飛ばす

正直、カーボン紙の存在をすっかり忘れていた。
刺繍を始めて半年ほどが経った頃、図案の転写をずっとフリーハンドで描き直していたのだが、ある日「そういえばカーボン紙ってあったな」と唐突に思い出した。小学生の時に親の仕事机で見かけた、あの黒くてベタついた紙だ。
文房具屋で買うのが筋かとも思ったが、ふと「セリアにもあるのでは」という発想が浮かんで、近所の店舗に寄ってみた。駅前のセリアで、昼休みに立ち寄った感じの、別に大した話ではない。
売り場、正直言うと迷った

文房具コーナーに直行したが、最初の1分くらいは見つからなかった。
ノートとかペンとか付箋とか、そういう主役級のものが目立つ棚の陰に、伝票とか領収書とか、地味な消耗品が並んでいる一角がある。カーボン紙はそこにあった。棚の下のほうで、特に目立つ表示もなくひっそりと。
パッケージはシンプルすぎるくらいシンプルで、透明袋に青い台紙、「カーボン紙(片面筆記用)」という文字だけ。A4サイズ、5枚入り、110円。
5枚で足りるかどうか少し悩んだけど、どうせ試すだけだし、と思って1パック買った。
家に帰って、いきなり失敗した

転写の手順自体は単純だ。カーボン面を下にして転写先の紙の上に置き、その上に原稿を重ねてペンでなぞる。
ただ、最初にやらかしたのは「カーボン面を間違えた」こと。
ツルツルしていて黒光りしている方が「転写する側(下面)」なのだが、私は最初、マットな感触の裏面を下にしてしまった。5分ほどなぞった後、確認したら紙に何も写っていなかった。完全に逆だった。笑えない。
改めて正しい向きでセットしてなぞったら、今度はちゃんと線が出た。当然といえば当然だが、その「ちゃんと出た」という感触は予想より良かった。100均だからどうせ薄いだろうという偏見があったので、それが裏切られた格好になった。
線はくっきり出る。細い線も、そこそこ再現される。筆圧はいつもよりやや強めを意識した方がいい。特に転写先が画用紙みたいに表面がザラついている場合、普通の力では凸部分にしか当たらず、線が点線みたいになってしまうことがある。これは何度かやって気づいた。
汚れの話、これが一番ストレスだった

作業中に何度か、うっかりカーボン面を指で触れてしまった。
そのたびに指先が黒くなり、その手で原稿や転写先を触ってしまい、変なところに黒い跡がついた。1回目はイラストの余白に見事な指紋を残した。
これはセリア固有の問題ではなく、カーボン紙全般の話だと思う。でも、文房具専門店で売っているカーボン紙と比べて「汚れが落ちやすい」とか「定着が強い」とか、そういう細かい差は私には判断できない。ただ、セリアの使っていて「特別べたべたして困る」という感覚はなかった。
転写した線の上を指で強くこすると、少し伸びてにじむ。鉛筆の芯を指でこすった時の感じに近い。なのでペン入れをする場合、ペン先が黒くなることがある。実際にそうなった。
5枚入り、これが意外と減らない

買う前は「5枚じゃ心もとないな」と思っていた。
実際には全然そんなことなく、今も1枚目をまだ使っている。A4の図案を3〜4枚転写して、まだ薄くなりきっていない。同じシートを全面まんべんなく使えば、かなりもつ。
ただ、「薄くなってきたな」と感じるタイミングが、少しわかりにくかった。徐々に薄くなっていくので、転写した後に「あれ、なんか線が細い?」と気づいたら既に微妙な状態になっていたことが一度あった。こまめに確認しながら使った方がいい。
使った後の保管が、地味に面倒

これは買う前に考えていなかったことだ。
使い終わったカーボン紙をそのまま机の上に放置すると、他の紙に黒い跡がつく。当たり前といえば当たり前だが、最初は気にせずほったらかしにしていて、下に置いてあった白紙に薄く黒い跡がついた。
今は使い終わったら元の袋に戻すか、薄い紙を挟んで保管するようにしている。収納に関しては何も考えられていない商品なので、そこは自分で工夫するしかない。
100円ショップのカーボン紙の代替品をAmazonと楽天で探す

セリアで在庫が切れていたり、もう少し枚数が必要になったりした時のために、オンラインで買える選択肢を3つまとめておく。
比較表
| 商品名 | 主な用途 | Amazon | 楽天 |
|---|---|---|---|
| aninako カーボン紙 黒 A4 片面 転写 複写 | イラスト・図案の転写全般 | 見る | 見る |
| ノーカーボン 複写 打合せ記録用紙 | 手書き複写・業務記録 | 見る | 見る |
| トレーシングペーパー A4 サイズ カーボン紙 複写 転写 ペーパー 写し絵 トレース | 写し絵・トレース全般 | 見る | 見る |
aninako カーボン紙 黒 A4 片面 転写 複写
刺繍の図案やイラストをそのまま別の紙に写し取りたい時に使いやすいタイプ。片面転写なのでセリアのものと同じ感覚で使え、まとまった枚数が必要な時の補充にも向いている。
ノーカーボン 複写 打合せ記録用紙
こちらはカーボン紙とは少し異なるアプローチで、用紙自体に複写機能が組み込まれているタイプ。カーボン紙を間に挟む手間がなく、打ち合わせや手書きの記録を2枚同時に残したい場面で使われることが多い。創作よりも実務寄りの用途に対応している。
トレーシングペーパー A4 サイズ カーボン紙 複写 転写 ペーパー 写し絵 トレース
半透明の紙を使って上から直接なぞるトレーシングペーパーとカーボン紙の機能を組み合わせたもの。原稿を透かして見ながら写せるので、複雑な形の図案や細かいラインを扱う時に重宝する。写し絵や子供のお絵かきの下地にも使いやすい。
結局、また買うか
買う。
次のパックを買うタイミングが来たら、また普通にセリアに行くと思う。わざわざ文房具屋で高いやつを探そうという気にはならない。趣味の刺繍図案の転写が主な用途である限り、これで十分だ。
ただ、一つだけ正直に言うと、転写の「精度」が求められる場面では、もしかしたら心許ないかもしれない。複雑な細密画を写したい時や、後工程でにじみが許されない素材に転写したい時は、専用品の方が安心感があると思う。
私には今のところそういう用途がないから気にしていないが、これはちゃんと留保しておきたい。
110円で買えて、普通に使えて、またすぐ買いに行ける。それが今のところの、私のセリアのカーボン紙に対する評価だ。
