去年の冬だったか、画材屋に行くのが面倒で、近くのセリアで済ませたのが最初だった。
べつに期待してなかった。「どうせ子供用だろ」くらいの気持ちで文房具コーナーをぶらついて、クラフト紙っぽい表紙のB6リングノートを手に取った。110円。まあ失敗してもいいか、と思ってレジに持っていった。
それから何冊買ったかな。たぶん8冊か9冊。今も引き出しに2冊ストックがある。
最初に言っておくと、これは「練習用」の話だ

高い画材を使っている人にとって、これがどういう位置づけになるか先に書いておく。
完成作品を描く紙じゃない。水彩をガッツリやる紙でもない。アルコールマーカーは裏抜けする。長期保存も怪しい。
それでも手放せない理由は一つで、「失敗してもどうでもいい」という気持ちで描けるからだ。
マルマンの図案シリーズを使っていた時期があった。あれはあれで悪くないけど、白紙を前にすると変なプレッシャーが生まれる。「何か描かないともったいない」という感覚。おかげで何も描かずに閉じる日が続いた。セリアのスケッチブックにはそれがない。110円だから。1枚数円だから。ぐちゃぐちゃに塗りつぶしても何も痛まない。
実際に使っているやつの話

僕がいつも買うのは、黒いリング綴じのB6サイズ。表紙がクラフト紙っぽいやつで、メーカーはサンノート。セリアの文房具コーナーに行けばたいてい置いてある。
B6にした理由は単純で、カフェのテーブルで広げてもうるさくないから。A4だとなんか「描くぞ」って気合を入れた感じになる。B6はメモ帳感覚で開ける。この差は思ったより大きい。
一冊40枚綴じで110円だった記憶がある。ただ、ロットによって30枚だったりすることもあった気がする。毎回同じじゃないのが100均らしいところで、そこは諦めている。
紙の感触について、正直に書く

鉛筆は思ったより悪くない
HBで描くと少し硬い感じがする。コピー用紙ほどツルツルじゃないけど、マルマンのスケッチブックほどザラザラもない。中間くらいの凹凸。
2Bか4Bで描くと、これがわりと馴染む。芯の粉をちゃんと拾ってくれるというか、グラデーションを作ろうとしたときに思ったよりきれいにできた。消しゴムで消せる回数は少ない。何度も同じ場所をゴシゴシやると毛羽立つ。だからこのスケッチブックでは「一発で決める」くらいの気持ちで描くほうがいい。
ミリペンは普通に使える
ピグマやコピックマルチライナーで描いたとき、滲みはほぼなかった。インクの吸収が早くて、線を引いてすぐ触っても手につかない。この点に関しては文句なし。
問題はコピックだ。
試したことがある。結果、盛大に裏抜けした。次のページまで色が染みた。下に紙を何枚か敷いてから使えば被害は最小限にできるけど、まあ正直「コピック用の紙じゃないな」という感想だった。コピックを使いたいなら、マーカーパッドを別で買ったほうがいい。
水彩は「気分だけ」ならいける
これも一度試した。水を多めに含ませて塗ったら、紙がかなり波打った。乾いてから触ると、表面が少し剥がれてくる場所もあった。
ただ、色の確認とかカラーチャートを作る程度なら十分使える。あるいは、水彩色鉛筆を使って水筆で少し伸ばすくらいの使い方なら、波打ちはそれほど気にならない。本格的な水彩をやりたい人には向かないが、そういう人はそもそもこれを買わないだろう。
セリアのスケッチブックのデザインは、ダイソーと明確に違う

これは個人的にわりと重要な話で。
ダイソーにも似たようなスケッチブックがある。価格はほぼ同じか、最近は110円より少し安いものもある。でも僕はセリアを選ぶことが多い。理由はデザインだ。
ダイソーのものは「文房具です」という雰囲気が正直に出ている。悪くはないけど、カフェで取り出したときに「業務っぽい」感じがする。セリアのクラフト紙表紙のやつは、そのまま持ち歩いてもそこまで恥ずかしくない。ステッカーを貼ったり、日付をスタンプしたりしてカスタマイズしやすい表面感もある。
そういう細かいところが、使い続けるかどうかの分かれ目だったりする。
気になったところを、包み隠さず書く

いいことばかり書いてもしょうがないので。
リングが弱い。 カバンに無造作に突っ込んでいたら、3冊目あたりでリングが少し歪んだ。ページをめくるたびにひっかかる。110円に耐久性を求めるのは間違っているとは分かっているが、地味にストレスだった。それ以来、カバンに入れるときはポーチの中に入れるようにした。
ロットによって紙質が変わる。 前に買ったものと今買ったもので、微妙に紙のザラつきが違うことがある。毎回同じ描き心地を期待していると、たまに裏切られる。大量生産品だから仕方ないとは思うけど、「あれ、なんか違うな」と感じる瞬間はある。
ページが破りにくい。 ミシン目がないので、誰かに絵を渡したくてページを切り取ろうとすると、根元がギザギザになる。まあ人に渡す用途には向いていないということだ。
長期保存は期待しない方がいい。 酸性紙かどうか表記はないが、この値段なら酸性紙だと思って使っている。数年後に黄変していても驚かない覚悟で使っている。大事なスケッチは、後でスキャンしてデータで残すようにした。
スキャンのときに一つだけ面倒なこと

デジタルで仕上げる前提でアナログ下書きをする人には、一つ伝えておきたい。
紙が完全な白じゃない。少しクリームがかっているか、グレーっぽい。これはこれで手書き感があって好きだが、スキャンしてPhotoshopやClip Studioで背景を白く飛ばそうとすると、しきい値の調整が少し面倒になる。完全な白い紙に比べて、線と背景のコントラストが弱いからだ。
慣れれば大した問題じゃないが、知らずに使い始めると「あれ?」と思うかもしれない。
100円ショップのスケッチブックの代替品をAmazonと楽天で探す
セリアで満足している人はそのままでいい。ただ、水彩をもう少し本格的にやりたいとか、マーカー専用の紙が欲しくなってきた、というタイミングで参考になりそうな選択肢を3つまとめておく。

比較表
| 商品名 | 枚数 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Phinus 30枚水彩画用紙 スケッチブック 300gsm超厚口 | 30枚 | 水彩・ガッシュ |
| TLS LIFE スケッチブック2冊セット30枚 60枚 | 30枚×2冊 | 鉛筆・ペン・一般スケッチ |
| Shuttle Art スケッチブック マーカー用画用紙 70枚 | 70枚 | アルコールマーカー |
Phinus 30枚水彩画用紙 スケッチブック 300gsm超厚口
300gsmという坪量が示すとおり、水をたっぷり使う技法向けに作られた紙だ。ウォッシュをかけても波打ちにくく、重ね塗りや滲みを活かした表現に向いている。水彩をセリアの紙で試して「もっと紙に投資してもいいかも」と思い始めた人の、次の一手になりやすい。
TLS LIFE スケッチブック2冊セット30枚 60枚
2冊セットという構成なので、自宅用と持ち歩き用に分けるといった使い方がしやすい。鉛筆、ボールペン、ミリペンなど、乾いた画材でのスケッチを日常的にこなす人が、まとめて手元に置いておくのに都合がいい。セリアと同じような「とにかく描く量を確保したい」という用途に近い立ち位置の商品だ。
Shuttle Art スケッチブック マーカー用画用紙 70枚
コピックなどのアルコールマーカーを使うとき、セリアの紙では裏抜けが避けられない。この商品はマーカー専用として作られており、裏移りを抑えた紙を70枚綴じている。枚数が多い分、色の塗り方の練習やカラーチャート作りにまとめて使えるのが特徴だ。
結局、どういう人に向いているか
長々と書いたが、まとめるとこうなる。
毎日少しずつ何かを描く習慣をつけたい人には、たぶんこれが一番いい。高い紙を買ってしまうと、描くことよりも「紙を無駄にしない」ことに意識が向く。110円なら、失敗前提で描ける。それだけで描く回数は増える。
逆に、完成作品用とか、本格的な水彩画用には向かない。そこは素直にそれ用の紙を買ったほうがいい。
僕自身の使い方は、日々のラフスケッチとアイデア出しがメインで、仕上げるつもりのない絵はここに描いている。月に1冊ちょっとのペースで消費している。コスパで言えば、画材費の中でここだけは全く悩まない。
ただ一つ、正直なことを書いておく。
「100円のスケッチブックで十分」と思い始めてから、高い道具を買う回数は確実に減った。それが良いことなのか悪いことなのか、まだよく分からない。使う量は増えたし、描くことへの抵抗は減った。でも、たまに画材屋で分厚いウォーターフォードの紙を触ると、「ああ、やっぱり全然違うな」とも思う。
セリアで十分かどうかは、自分が何のために描くかによって変わる。僕には今のところ十分だ。少なくとも、しばらくはセリアへ通い続けると思う。
