ドリッパーが割れたのは、たしか去年の冬だった。
洗い物をしていて、うっかりシンクに落とした。真っ二つとはいかないけど、ひびが入って使えなくなった。新しいのを買えばいいだけの話なんだけど、なぜかそのままにしてしまった。コンビニで買えばいいか、とか、どうせすぐ買うし、とか思いながら、気づいたら数ヶ月経っていた。
セリアで見つけたのはそういうタイミングだ。日用品を買いに寄っただけで、コーヒーグッズを探していたわけじゃない。棚の前を通ったら目に入った、という感じ。
「使い捨てコーヒードリッパー」という文字を見て、一瞬何のことかわからなかった。ドリッパーが使い捨て? フィルターじゃなくて? 手に取って眺めて、100円だし買ってみるか、と思った。たぶん30秒くらいの判断だった。
中身はこんなもの

袋を開けると、折りたたまれた紙が何枚か入っている。
広げるとドリッパーの形になる。素材はコーヒーフィルターと似たような紙で、これ自体がフィルターを兼ねている。つまりコップの上に置いて、粉を入れて、お湯を注げばいい。別途フィルターを用意する必要はない。飲み終わったらドリッパーごと捨てる。
構造の説明はこれで終わりだ。それくらいシンプルだ。
枚数は確か複数枚入りで100円だった。1枚あたりで計算すると普通のフィルターより割高にはなるけど、ドリッパー本体を買わずに済むと思えば、最初の一歩としては悪くない。
使ってみた、正直なところ

味については予想外だった
チープな味になると思っていた。
根拠はないけど、100円の使い捨てだし、なんとなくそういうイメージがあった。でも飲んでみたら、普通においしかった。いつも使っている豆を同じように入れたら、いつも通りの味がした。考えてみれば当たり前で、ドリッパーの素材がフィルターと同じ紙なら、味が変わるわけがない。変に身構えていた自分がちょっと恥ずかしかった。
お湯を注ぐときだけ気を使う
これは最初に失敗した。
勢いよく注いだら、ドリッパーがずれた。コップの上に乗せているだけなので、紙製で軽いぶん動きやすい。粉がまだ乾いている最初の一投目がとくにずれやすくて、慌てて手で押さえた。お湯が少し手にかかって、地味に痛かった。
それからはゆっくり、細く注ぐようにしている。それだけで安定した。コツというほどのことでもないけど、最初は知らなくて失敗したので一応書いておく。
毎日使って気づいたこと

洗い物ゼロの威力
これは使う前に想像していたより、ずっと快適だった。
普通のドリッパーって、使うたびに洗って乾かして片付ける。1回1回は大したことないけど、毎朝だと積み重なる。忙しい朝に限って、ドリッパーがまだ濡れていたりする。使い捨てはその面倒が全部なくなる。飲んだら捨てる。それだけ。
朝の数分が変わるだけで、なんとなく気持ちに余裕ができた気がした。大げさかもしれないけど、そう感じた。
出張のときに持っていった
折りたたまれていてほぼ厚みがないので、何枚かポーチに入れておいた。
ホテルにケトルがあったので、コーヒーの粉を小分けにして持っていって、朝に自分でドリップした。ホテルの備え付けのインスタントコーヒーって、なんとなく気分が上がらない。自分でドリップしたコーヒーを飲むだけで、朝の気分が少し違った。たぶん味よりも、いつもと同じ動作をすることが落ち着くんだと思う。
それからは旅行や出張のたびに何枚か持っていくようになった。
ゴミが増えるのは事実
毎日使えば毎日ゴミが出る。
普通のドリッパーを使っていても、フィルターは毎回捨てる。でも使い捨てはドリッパーごとなので、かさはある。週に何度か飲む程度なら気にならないけど、毎朝となると少し目につく。
環境のことを考えると、ずっと使い捨てで行くのは自分でも引っかかりがあった。結局、普通のドリッパーを後から買って、今は旅行のときだけ使い捨てを使っている。
コップを選ぶ
口径が合わないと安定しない。
うちにあった普通のマグカップはちょうどよかったけど、小さめのコップや口が広いマグだとうまく乗らなかった。商品を見ただけではわからなかったことで、使ってみてわかった点だ。
向いている使い方、向いていない使い方

向いているのは、こういう場面だと思う。
引っ越したばかりで道具がまだ揃っていない、ドリッパーを持っていないけどとりあえずドリップしてみたい、旅行先でもコーヒーにこだわりたい、朝の片付けをとにかく減らしたい。そういうときには本当に便利だ。
向いていないのは、毎日使い続けるつもりで節約したい場合だ。1枚あたりのコストを計算すると、普通のフィルターより高くなる。長く使うなら最初にドリッパーを買った方が結果的に安い。
どちらが正解というわけじゃなくて、使い方次第だと思う。
普通のドリッパーに移りたくなったら
セリアの使い捨てで「ドリップっていいな」と思ったなら、次は普通のドリッパーを買うのが自然な流れだと思う。
ハリオやカリタなど国内メーカーのものは、数百円から買えるものもあるし、使い方もそこまで変わらない。AmazonやRakutenで探すと素材も形も値段帯も幅広く揃っているので、自分のペースで選べる。フィルターも一緒に揃えてしまえば、あとは粉と湯だけでいい。
使い捨てコーヒードリッパーの代替品をAmazonと楽天で探す

セリアの使い捨てドリッパーを使ってみて、同じような手軽さで続けたい、あるいは枚数をまとめて揃えたいと思ったときに候補になる3つを紹介する。それぞれ形式や対象が少し違うので、自分の使い方に近いものを選ぶといい。
比較表
| 製品名 | タイプ | 入数 | 対象 |
|---|---|---|---|
| カリタ Kalita うまみを引き出す コーヒー | フィルター | 商品ページ参照 | ドリップ全般 |
| 珈琲パチット コーヒーフィルター 1杯用 100枚入り | 使い捨てフィルター | 100枚 | 1杯用 |
| コーヒードリッパー ワンタッチ式 1人用 50枚 ブラウン 11.1×8.6cm CF-1350 | 使い捨てドリッパー | 50枚 | 1人用 |
カリタ Kalita うまみを引き出す コーヒー
カリタは国内の老舗コーヒーブランドで、ドリップ器具からフィルターまで幅広く展開している。このシリーズはフィルターとドリッパーをセットで使う前提の設計になっていて、カリタ式の三つ穴構造に合わせた抽出ができる。すでにカリタのドリッパーを持っている人や、ブランドで揃えたい人に向いている。
珈琲パチット コーヒーフィルター 1杯用 100枚入り
名前の「パチット」が示す通り、コップにパチッとはめて使うタイプだ。1杯用で100枚入りなので、毎日飲む人がまとめて買い置きしておくのに向いている。セリアの使い捨てドリッパーと使い方のイメージが近く、同じ感覚で使いやすい。フィルターを別に用意しなくていい点も同じだ。
コーヒードリッパー ワンタッチ式 1人用 50枚 ブラウン 11.1×8.6cm CF-1350
ワンタッチで開いてコップに引っかける形式の使い捨てドリッパーだ。サイズが11.1×8.6cmと明記されているので、手持ちのマグカップと合うかどうかを事前に確認しやすい。50枚入りなので、旅行用にまとめて買っておいたり、オフィスに置いておいたりという使い方に合っている。
使ってみて思ったこと

結論から言うと、買ってよかった。
ドリッパーを探すのを何ヶ月も後回しにしていたのが、100円で解決した。味も思ったより全然よかったし、洗い物がなくなったのは予想以上に快適だった。旅行に持っていくという使い方も、自分では思いつかなかった。
今は普通のドリッパーに戻ったけど、使い捨てのを何枚かは常にストックしている。旅先でホテルのケトルを使いながら飲むコーヒーが、なぜか家で飲むより少しおいしく感じる。気分の話だと思うけど、それでいい。コーヒーなんて結局、そういうものだと思っている。
