去年の冬、風呂に入るのを3日連続でサボった。
理由はシンプルで、こたつから出たくなかったからだ。「脱衣所、絶対寒いし」という謎の言い訳を自分に言い聞かせながら、結局また朝まで過ごした。翌朝、体がだるくて頭が痛くて、「こたつのせいだ」と思った。違う、自分のせいだ。
そういう話を書こうと思っている。
こたつの素晴らしさを語るブログ記事は山ほどある。でも私が書きたいのは、もっとぐだぐだした、リアルな話だ。こたつに助けられた話も、こたつにやられた話も、全部ひっくるめて。
最初の記憶——祖母の家の居間

山形の冬
小学校低学年の頃、毎年冬休みは山形の祖母の家で過ごしていた。
新幹線を降りた瞬間の空気を今でも覚えている。顔に当たる冷気が東京とまるで違った。痛い、というのが正直な第一印象。息を吸うと肺が冷たくて、子ども心に「ここは別の国だ」と思った。
祖母の家は古い木造で、廊下を歩くと床がきしんだ。廊下に出るたびに足がじんじんした。そんな家の中で、居間だけが異様に温かかった。
部屋の真ん中に、分厚い布団のかかった大きなこたつがあった。
「早く入りなさい」と祖母に言われて飛び込んだ瞬間のことは、今でも妙にはっきり覚えている。足先からじわっと広がる熱。布団の重さ。それから、みかんの甘い匂い。「温かい」というより「助かった」という感覚に近かった。
足の押し合い
祖母の家のこたつは、いつも満員だった。
私と従兄弟3人で無理やり体を押し込んで、足がぶつかってもお互い謝りもしない。隣の従兄弟がうとうとして、体がだんだんこちら側に傾いてくる。それを肩で押し返す。みかんを黙って食べる。テレビを見る。
くだらない時間だったけど、なぜかよく覚えている。
大人たちはこたつを囲んでお酒を飲みながら、私には関係のない親戚の話をしていた。内容はよくわからなかったけど、笑い声のトーンとか、誰かがお酒を注ぐ音とか、そういうものが部屋に満ちていた。こたつってそういう場所だと、あの頃に体で覚えた気がする。
一人暮らし、初めての自分のこたつ

上京した冬
大学で東京に出て、最初の冬のことを思い出す。
東京の冬は山形とは比べものにならないくらいぬるい。でも、6畳のワンルームで一人でいると、気温とは別の種類の寒さがあった。コンビニ弁当を一人でレンジで温めて、一人で食べる夜の、あの静けさ。音楽でもかければいいのに、なぜかかける気になれなかった。
ある日の夜、特に理由もなく祖母の家のこたつを思い出した。
感傷的になったわけじゃない。ただ「あれ、あったかくていいよな」とぼんやり思っただけだ。翌週末、駅前の家電量販店に行って、一人暮らし向けのコンパクトなこたつを買った。たしか1万2千円くらい。組み立てに30分かかって、途中で説明書を読むのが面倒になって、なんとなく完成させた。
その夜、カップラーメンを持ってこたつに入った。スマホでYouTubeを流しながら一人でラーメンをすする。
それだけのことなのに、部屋の空気がほんの少し変わった感じがした。「ここ、悪くないな」と初めて思えた夜だった。
一人こたつのこと
一人でこたつに入って過ごす時間は、家族と囲むそれとは全然違う。
誰も話しかけてこない。足がぶつかることもない。みかんを取られることもない。最初はその静けさが少し寂しかったけど、だんだん「自分のペースでただそこにいられる」感じが好きになっていった。
本を読むのが、こたつに入ってからの方が集中できた。外が寒くて、でも自分は温かい。その対比が、なぜか気持ちを落ち着かせてくれる。
ただ、眠くなるのが毎回問題だった。気づいたら本が胸の上に落ちていて、口が半開きになっている。それが週に2〜3回あった。
友人と、パートナーと

鍋パーティーの話
社会人になってしばらく経ったころから、冬になると友人を呼んでこたつで鍋をするのが習慣になった。
こたつの上にカセットコンロを置いて、土鍋を乗せる。メニューはだいたいキムチ鍋か豆乳鍋。シメをラーメンにするか雑炊にするかで毎回揉めた。私はラーメン派で、友人の一人は絶対に雑炊じゃないとダメだと言い張っていた。今でもそこだけ解決していない。
外で飲むより、こたつを囲んで鍋をつついている時の方が、深い話になりやすかった。
転職しようか迷っている、とか。好きな人がいる、とか。普段は言い出しにくいことが、こたつの夜だとなぜか自然に出てくる。体が温まるとどこかガードが緩むのかもしれない。それとも、外に出られないから話すしかないのか。
友人のひとりが「仕事、もう限界かもしれない」と打ち明けてくれたのも、冬のこたつの夜だった。私は特別うまいことを言えたわけじゃない。ただ一緒にいた。それだけだったけど、今でも良かったと思っている。
結婚してから
パートナーと同居するようになって、こたつの使い方がまた変わった。
平日の夜は、お互い疲れていてあまり話さない。それぞれスマホを見ながら、同じこたつに足を突っ込んでいる。外から見たら地味な光景だと思う。でも私はこの時間が好きだ。話さなくても、足が当たっているだけで「ここに誰かいる」という感じがする。それだけで、なんとなく十分な気がする。
週末は二人でこたつに入りながら映画を見る。パートナーは高確率で途中で寝落ちする。最初は「もったいない」と思っていたけど、今はそれも含めてこたつの時間だと思っている。寝顔を横目に残りを一人で見る時間も、悪くない。
こたつの、良くない話もする

こたつで朝を迎えた翌日
冒頭に書いた通り、こたつで朝を迎えたことが何度もある。
毎回、体がだるい。頭が痛い。喉がカラカラ。「絶対もうやらない」と思うのに、気づいたらまたやっている。これは完全に自分の意志の問題なので、こたつを責めるのは筋違いだとわかっている。でも少しだけこたつのせいにしたい。
こたつで眠ることが体によくない理由を、懲りずに寝落ちした翌日に調べた。体の表面は温められているのに、水分がどんどん失われるので脱水になりやすいらしい。体の一部だけ長時間温め続けると低温やけどのリスクもある。知識としては知っている。それでもまたやる。人間とはそういうものだと思っている。
動けなくなる問題
こたつに入ると、動けなくなる。
「ちょっとトイレ」ですら億劫になる瞬間がある。洗い物があるのにわかっている。でも出られない。冬に体重が増えるのはこたつのせいだと毎年思っているが、正確にはこたつから出ない自分のせいだ。
これに関しては解決策が特にない。強いて言えば「最初から入らない」しかないが、それはこたつを買った意味がないので、毎年諦めている。
こたつを買い替えた話

サイズは大きめが正解だった
最初に買った一人暮らし用の正方形こたつは、友人を呼ぶようになってから明らかに手狭だった。4人で入ろうとすると、誰かしら足が出る。
結婚を機に長方形の大きめサイズに買い替えた。これが正解だった。二人でゆったり使えるし、友人が来ても余裕がある。こたつのサイズは「今の生活」ではなく「少し先の生活」に合わせて選ぶといい、というのが個人的な結論だ。
ヒーターの種類で迷った
買い替えの際にヒーターの種類で結構迷った。
店頭で店員さんに聞いたら、丁寧に説明してくれたけど、正直途中からよくわからなくなった。石英管、ハロゲン、カーボン、フラットヒーター——名前だけ聞いてもピンとこない。結局スマホで口コミを調べながら30分くらいその場に立っていた。店員さんが少し気の毒そうな顔をしていた。
最終的に選んだのはカーボンヒーター式のものだった。
決め手は「立ち上がりが早い」という口コミだった。こたつに入ってから温まるまでの時間が短いのは、寒い朝に地味にありがたい。電気代も以前のものより少し安くなった気がする。気がする、というのは電気代を毎月ちゃんと確認していないからだ。
ひとつ後悔しているのは、天板の素材をもう少し気にすればよかったということ。今のこたつの天板は傷がつきやすくて、買って半年もしないうちに角に小さい傷が入った。見た目を気にする人は天板の素材もちゃんと確認した方がいい。私は確認しなかった。
こたつと日本の冬について、少しだけ真面目な話

なぜこたつは特別なのか
エアコンをつければ部屋全体が温まる。床暖房があればもっと快適かもしれない。でも、こたつに変わる暖房器具は今のところ私の中にない。
なぜかと考えたことがある。
たぶん、こたつは「場所」を作るからだと思う。エアコンは部屋を温めるが、どこに座っても同じだ。でもこたつは、そこに入らないと意味がない。だから自然と人が集まる。家族でも友人でも、こたつを囲むと物理的に近くなる。近くなると、話しやすくなる。
それだけのことかもしれないけど、それが結構大事なんじゃないかと思っている。
こたつ文化は、たぶん日本独自のもの
外国人の友人がうちに来たとき、こたつを初めて見て「これは何?」と聞いてきた。説明したら「テーブルの下にヒーターがあって、布団をかけているだけ?」と少し不思議そうな顔をした。
でも一度入ったら出てこなくなった。
「これ、やばい」と言っていた。やばい、の意味は良い方だと思う。そのまま2時間くらいそこから動かなかった。
こたつの魔力は、説明するより体験させた方が早い。
100円ショップのこたつのコードは共通の代替品をAmazonと楽天で探す
100均のこたつコードが断線したり、そもそも替えが見つからないとき、AmazonやRakutenで手に入る汎用品が選択肢になる。以下の3製品は、一般的なこたつに対応した交換用コードとして流通しているものだ。
比較表
| 製品名 | コード長 | スイッチ | カラー |
|---|---|---|---|
| オーム電機 こたつコード こたつ用電源コード 交換コード | 商品ページ参照 | 記載なし | 商品ページ参照 |
| コイズミ コタツコード 中間スイッチ付 ブラック KBK-7090 | 商品ページ参照 | 中間スイッチ付 | ブラック |
| エルパ(ELPA) コタツコード こたつ 暖房 コンセント 3m スイッチ 125V 7A WK-30NP(GY) | 3m | スイッチ付 | グレー |
オーム電機 こたつコード こたつ用電源コード 交換コード
コードが傷んだとき、メーカーを問わず使える汎用タイプとして選ばれやすい一本。こたつ本体を買い替えずにコードだけ交換したい場面で、まず候補に挙がる製品だ。
コイズミ コタツコード 中間スイッチ付 ブラック KBK-7090
コイズミブランドのこたつに限らず、中間スイッチが欲しい場合の選択肢として知られている。こたつに入ったまま手元で温度を切り替えたいとき、このタイプが使いやすい。カラーはブラックなので、こたつ周りをすっきり見せたい場合にも合わせやすい。
エルパ(ELPA) コタツコード こたつ 暖房 コンセント 3m スイッチ 125V 7A WK-30NP(GY)
3mというコード長が特徴で、コンセントの位置がこたつから少し遠い部屋でも届きやすい。125V・7Aの仕様で、一般的な家庭用こたつの範囲であれば対応できる。ELPAは電気用品を幅広く手がけるメーカーで、家電量販店でも目にすることが多い。
まとめというか、これからのこたつとの付き合い方

特にきれいなまとめはない。
こたつは好きだ。冬が来るたびにセットするのが楽しみだし、最初に入る瞬間の「ああ、今年も冬だ」という感覚が好きだ。祖母の家の居間を思い出すこともある。あのみかんの匂いとか、従兄弟の寝顔とか。
一方で、こたつのせいで風呂に入れなかった夜も、朝までうとうとして体がだるかった翌日も、洗い物を見て見ぬふりした夜も、全部こたつの歴史だ。
今年の冬も、たぶん同じことをする。
布団を押し入れから出して、ヒーターを取り付けて、スイッチを入れて、足を突っ込んだ瞬間に「ああ、これだ」と思う。そしてそのまま動けなくなる。
それでいいと思っている。
少なくとも、こたつの中にいる間は——何もかもが、まあいいかという気持ちになれるから。
